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季節の食料品 【その4】 さくらんぼう恐るべし [小がめらの西方見聞録]

OTH-2016-061803.JPGカリフォルニア産のさくらんぼうです。季節もそろそろ終わりでしょうか。日本にもたくさん輸入されていますよね。私も好きです。おいしいですよね。

が、カリフォルニアのさくらんぼうを見るたびに、二十数年前にボストンに駐在していた時の、ある 恐怖?の体験 を思い出します。

**********

日本に出荷する特注の装置を作っていたのですが、製造工程が大幅に遅れてしまい、やむを得ず飛行機で運ぶことになりました。

分割して木枠梱包して、合計7~8個あったでしょうか。一梱包の重量は1t以下から重いものは10t弱まであって、合計30t以上です。

これだけの物量だと、B747貨物専用機 (通称:ジャンボ・フレーター)でないと一気に運べません。

ボストン・ローガン空港にはジャンボ貨物機は定期就航していないため、チャーターすることになりますが、それでは1500万円くらい掛かってしまいます。(今時は2000万円は下らないそうです)

そこで運送会社の方が知恵を絞ってくれて、フェデラルエクスプレスの DC10貨物専用機 で何日かに分けて運ぶことになり、だいぶ安い価格になりました。

時期がちょうどゴールデンウィークに重なったため、連休中に貨物を次々と成田に運んで保税倉庫に保管し、連休明けに一括通関させる作戦です。

さすが餅は餅屋、いろいろなアイデアがあるものだと感心し、これでギリギリ何とか間に合うと安心したのですが、その時運送会社の方が言った 恐るべきこと に思わず固まりました。

但し、カリフォルニアのチェリーの収穫が早まったら諦めてください。

どういう事ですか???

生鮮食品とかち合ったらアウトだという事です。

予約してあっても?

そうです。

カリフォルニアのチェリーの日本向け空輸のため、多くの航空便の貨物スペースが5月中旬ごろに予約されているそうなのですが、もしその収穫が早まれば、予約の日程に関わらず優先で運ばれるのだそうです。
これは運送会社でもコントロールできず、航空会社の判断事項で、運送約款か何かで認められているらしいのです。

つまり、腐らないものは後回し という事になるのだそうです。

安堵から一転、予約便のフライトの日まで ドキドキ の毎日が始まりました。
幸い、さくらんぼうの収穫が早まる様子はなく、ウチの貨物の成田への空輸が始まりました。
めでたしめでたし。

と思いきや、いろいろなことが起こるもので、輸送も佳境に差し掛かったある日、運送会社さんから電話が...。

重量オーバーが発生しました。

???

一番重い10t弱の貨物が、積載前に計量したら10tを1tほどオーバーしてまして...

ウチの会社でも梱包後丸ごと計量はできないため、設計部門と組立部門の計算で10t弱と弾いていたのでした。

で、どうなるのですか?

DC10の貨物機は総重量では20tや30tは積めますが、1梱包の最大重量は10tまでなんです。

で、どうなるのですか?

1梱包で10t以上の貨物を積める機体はジャンボの貨物機しかないんです。

。。。。。

で、しかも10t超となるとジャンボの重心に載せないといけないんです。

重心って、1機に...

そうです、1箇所しかありません。

今からジャンボ貨物機の重心スペースの確保に動きます。

よ、よろしくお願いします...。

ジャンボ貨物機を1機チャーターするわけではなかったので、そこまで高くはなりませんでしたが、節約分がある程度帳消しになったのは言うまでもありません。
費用の心配もさることながら、さくらんぼうが襲撃してくる前にジャンボの重心が見つかるように祈る日々に変わりました。

幸い、競合する大型貨物がなかったからか、ジャンボの重心は程なく確保され、貨物は僅かな遅れのみで、さくらんぼうの追撃を受けることなく無事に成田に到着しました。

「さくらんぼう」さえいなければ、こんなにドキドキせずに済んだのに
...と恨めしがっても仕方ありませんね。

それ以来、カリフォルニアチェリーを見るたびに、この時のヒヤヒヤ・ドキドキを思い出すことになりました。

さくらんぼうの全く登場しない、でもさくらんぼうに深く関わるとても怖いお話でした(笑)

それではまた。
小がめら(拝)

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コメント 4

sjghd

こんばんは。

そろそろ、日本でも、サクランボの季節になりました。
山形県産の佐藤錦が、有名で、サクランボ大好きなので、
よく食べます。
サクランボは、小粒より、大粒がいいです。

あれ、、"さくらんぼう”より”さくらんぼ”と私は、言いますが、、、

by sjghd (2016-06-21 19:48) 

チューリップでございます。

こんにちわ、小がめらさん。。。

輸入のサクランボ、たくさん見かけますから、
ものすごい輸入量なんでしょうね~。

で、荷物のお話、びっくりですね。
ジャンボ機の重心から、ずれると傾く?かも?
ってことなんですかぁー。
なんだか、考えもつかない話で面白かったです。。



by チューリップでございます。 (2016-06-21 22:28) 

小がめら

sjghdさん、こんにちは。早速のお書き寄りありがとうございます。

> そろそろ、日本でも、サクランボの季節になりました。

そうですね、日本はこれからですね。この辺は5月中旬に日本から戻ったら既にお店には並んでいました。


> 山形県産の佐藤錦が、有名で、サクランボ大好きなので、よく食べます。サクランボは、小粒より、大粒がいいです。

高級品ですね。私は滅多に食べた記憶がありません。粒の大きさで味がかなり違うのですね。


> あれ、、"さくらんぼう”より”さくらんぼ”と私は、言いますが、、、

“さくらんぼ”が正しいと思います。今回は「うる星やつら」の“錯乱坊”に引っ掛けて、ちょっと小憎らしい相手として意識してしまい、“さくらんぼう”と書いてしまった気がします。

ありがとうございました。またいつでもお書き寄り下さい。
それではまた。

by 小がめら (2016-06-22 07:14) 

小がめら

チューリップさん、こんにちは。早速のお書き寄りありがとうございます。

> 輸入のサクランボ、たくさん見かけますから、ものすごい輸入量なんでしょうね~。

具体的な輸入量は知りませんが、相当な量が短期間に集中するでしょうから、その時期になると成田空港の貨物ターミナルがさくらんぼだらけになるのでしょうね(笑)


> で、荷物のお話、びっくりですね。

運輸業界の人には日常茶飯事かも知れませんが...。

ボストンには大西洋のマグロという、これまた生鮮航空貨物の王様がいました。未冷凍品なのでマグロとほぼ同量の氷を一緒に積んで、日本に空輸してると聞きました。太平洋産は船内冷凍したものが水揚げされ、大西洋産は未冷凍で空輸。なんか逆のような気がしますよね。


> ジャンボ機の重心から、ずれると傾く?かも?ってことなんですかぁー。なんだか、考えもつかない話で面白かったです。。

効率よく水平飛行するには、機内(特に前後)の荷重の配分は重要なのでしょうね。最初「重心でないと…」と聞いた時は、そんな貴重な場所がすぐに確保できるのかな?と思いました。

ありがとうございました。またいつでもお書き寄り下さい。
それではまた。

by 小がめら (2016-06-22 07:39) 

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